本町を通過し千歳橋を過ぎると道は大きくカーブしていますが、これは大手門の二の門、一の門の桝形門square-shaped gate の形に沿って道がカーブしているからです。桝形門はdouble gate entranceとして防御を固めていたのです。 太鼓門の入り口直前で土橋が狭くなっていますが、これは「鵜の首」と言われるもので、堀を内側に入れ込み、道幅を狭くして大勢で攻め込んできた敵兵の勢いを削ぐ仕掛けです。英語ではthe neck of the cormorant (cormorant’s neck) といいます。 黒門を含め松本城の桝形門は三か所ですが、桝形は狭間で囲まれ、防御に最適で、まさに敵兵にとっては死の罠death trapとなります。この桝形に何とか侵入できても敵はsitting duck (無防備な標的)又はlame duck(手足をそがれた標的)となります。先日カナダからの講演者を案内した際sitting duckとlame duckどちらが適切でしょうか?と、お訊ねしたらlame duckの方がいいですよ、とおっしゃっていました。イラク戦争の時Bush大統領が相手をlame duckと言って誇らしげに演説していましたね。 また黒門西側の石垣には「横矢掛り」があり、土橋を渡って攻め来る敵を側面から狙い撃ち。桝形内の死角 (blind spot) にも有効な防御の仕組みです。敵は横矢の存在に気付いたとしても逃げること能わずになるのです。
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