耳寄りなお話(Tantalizing Tidbit) 11

CastleとPalace  2か月ほど前案内したフランス人が「ベルサイユ宮殿はフランスではお城とみなしている」とおっしゃったので驚きました。が、以前歴史好きのイギリスの青年から「城」と「宮殿」の関係について聞いた話を思い出しました。今回は参考までにその話を書きましょう。  西洋では古代ローマの時代から石、木、土など様々な素材を使った建物が造られましたが、中世になると全体が石造りの堅固な要塞が町の中心に建てられるようになりました。この青年によると住民をsuppressするのが第一の目的だったのだそうです。このような堅固な要塞は一般的にFortressといわれます。(ロンドンにあるThe Tower of Londonがそれで、正に町の中心に建てられたのですが、ロンドンがどんどん外へ広がっていったため、現在では中心でなくなっているのだとのこと)。この堅固な要塞に王や貴族が住むようになりましたが、近世になると次第に装飾性の強い建物を好むようになり、窓の多い華やかな建物が多く造られました。このような王の住まいを兼ねた装飾性が強く、かつ防衛機能も備えた建造物をCastleと呼ぶのだそうです。  やがて王や貴族たちは防衛機能よりもさらに外見の壮麗さ、豪華さ、居住性などを重視した建物を好み、移り住むようになました。これが宮殿(Palace)で、都市の中心に造られるようになっていったのだそうです。防衛機能はありません。ロンドンを例にとるとThe Tower of LondonはFortressでありCastleでもある。BuckinghamはPalaceということになります。  私たちがCastleと呼んでいる日本の城は軍事目的で建造され、いわゆる西洋のようなきらびやかな装飾性は殆ど見られません。住居を兼ねた建造物でもないので、果たしてCastleと呼んでいいのか多少疑問になりますが、破風などの装飾は美しく、手斧で削った柱も美しく仕上がっている。また多くの御殿が防衛機能を持つ城にほぼ隣接して本丸内に建てられていることを思えばやはりCastleと呼ぶのがふさわしいのでしょう。昨秋研修旅行で訪れた高知城は建造時御殿がお城の中に(入口の右側)組み込まれており、現存していました。