望楼型? 層塔型?
※ 一般的な解説
屋根の種類

入母屋造(いりもやづくり)は、上部においては切妻造(長辺側から見て前後2方向に勾配をもつ)、下部にお いては寄棟造(前後左右四方向へ勾配をもつ)となる構造をもつ。 日本においては古来より切妻屋根は寄棟 屋根より尊ばれ、その組み合わせである入母屋造はもっとも格式が高い形式として重んじられた。 法隆寺の金 堂や平安神宮大極殿のほか各地の城郭建築でも見ることができる。 寄棟造(よせむねづくり)は、建築物の屋根形式のひとつで、4方向に傾斜する屋根面をもつものをいう。 広義 では同様の屋根をもつ建物のことを指す。 屋根の形式を指す場合には、単に寄棟ということも多い。 四注(しち ゅう)ともいう。 日本では、切妻造に次いで多く用いられている形式である。 切妻造(きりづまづくり)とは屋根形状のひとつで屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を 伏せたような山形の形状をした屋根。 広義には当該屋根形式をもつ建築物のことを指す。 切妻屋根ともいう。 資料 ウィキペディアより
望楼型・層塔型
型式は望楼型・層塔型の2つに大別されている。
◆ 望楼型
一般的に初期の形式と言われている。 入母屋造りの櫓上に小型の望楼を載せたような形式。
(イメージとしては極端な例だが旧開智学校のような形式)
入母屋造の櫓の上に望楼を別構造で載せているので、初重平面が歪んでいても、上重の矩形は整えるこ とができる。
天守の一つの特徴である破風が必ずできるので、堂々としたデザインとなる。 その他犬山城、姫路城など

◆ 層塔型
主に寛永年間以降に見られ、寺院の五重塔のように上から下までデザインに統一感がある。
上に行くにつれて平面規模が逓減し、最上重の屋根だけを入母屋としたもの
直接に基部となるような大入母屋は造られず、全く破風のないものもある。 そのために層階の一致が図ら れる
用材の規格が容易になり城郭建築のように工期の短縮を至上とする場合は有効であった。
一層一層、積み上げていく工法で築城する為、天守台が方形で水平になっていることが必要 素っ気なくなりがち その他 名古屋城など


城の見方ガイド(4) 天守の形~望楼型&層塔型~ - 裏辺研究所 参照
※ 松本城の場合
お城の説明アナウンスでも紹介されているように、城郭建築史上特異な存在のようです。 公式的には「層塔型」に分類されているが、構造的歴史的に見て当初は望楼型であったのではないか。 下記のウィキペディアと松本市の見解をまとめると次のようなことになります。
◆望楼型の特徴
天守台は正確な矩形ではなく、そのゆがみを入母屋(大屋根で調整している。
3階は下から2枚目の屋根裏階をもっている。
層塔型天守は藤堂高虎によりはじめて築かれたのは層塔型天守丹波亀山城(慶長15 ・今治城として慶 長13 年に建てられた天守を移築)であるが、松本城はそれに先立つ文禄3~4 年(1593~94)に建て られている。
1階ごとに決まった逓減率になっていない。
◆層塔型の特徴
糸巻き型の歪んだ天守台に造られた天守ではあるが、天守台の上に正しい長方形の身舎(もや)(16本 の基礎はしらの部分)を造り上階を組み上げている。 設計(計画)段階から柱の通り心を通し、16本の支持柱で天守の自重のほとんどを受ける設計に なっ ており、3階以上を望楼として計画していないようである。
下から二重目の屋根は入母屋ではなく寄せ棟になっている。
内部的には決まった逓減率になっていないが、外観上はほぼ一定である。
関連項目;全体構造

松本市の見解
松本城を建築史家は層塔型天守に位地づけている。 しかし、天守台は不等辺四角形できちんとした長 方形ではない。 1・2階の城壁は石垣の歪みを繁栄して内側に湾曲している。 また、3階は下から2枚 目の屋根裏階をもっており層塔型天守とはいいがたい面がある。 また、1階ごとに決まった逓減率にな っていない。 下から1枚目の屋根と4枚目の屋根は出桁によって屋根の垂木を支えているが、2枚目3 枚目の屋根はその下の階の天井部分がこれを支えている。 また、時代的に見て藤堂高虎によりはじめ て築かれたのは層塔型天守丹波亀山城(慶長15 ・今治城として慶長13 年に建てられた天守を移 築)であるが、松本城はそれに先立つ文禄3~4 年(1593~94)に建てられており層塔型天守とは いいがたい面がある。 糸巻き型の歪んだ天守台に造られた天守ではあるが、天守台の上に正しい長方形の身舎(もや)(16 本の基礎はしらの部分)を造り上階を組み上げている。 これは不定形な四辺形の上に入母屋の建築物 を造り3階以上で方形に調整した望楼型天守から発想された技術がここに生かされているようにも思 える。 したがって、松本城は純粋な層塔型天守ではなく層塔型天守が生まれ出る過渡期の技術によっ て造られた天守ということができよう。.
大天守は構造的には望楼型天守から層塔型天守への過渡期的な性格が見られ、2重目の屋根は天 守台の歪みを入母屋(大屋根)で調整する望楼型の内部構造を持ちながら外見は入母屋を設けず強 引に寄棟を形成している。 ただ、強引とはいえ外見的には層塔型の形状を成立させているため、各重 の屋根の隅は様々な方向を向いており、松本城天守の特徴のひとつとなっている。 3階の、低い天井 に窓のない特殊な空間が生まれたのはこのためで、パンフレットなどでは「秘密の階」と説明されてい るが、構造上は2重の上に生じた大屋根構造の名残りともいえる屋根裏的な空間を階として用いたこと によるものである。
天守三階 隠れ階
ここは望楼型の名残が残る屋根裏部屋的な階です。
関連項目:
