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中山道トレイル体験記

 5月から新型コロナ感染症が5類へ緩和され、それ以降、訪日外国人の数は益々増加傾向にある。コロナ前から、松本城を訪れた外国人の多くが、中山道、高野山、そして熊野古道などを歩いたという話をよく耳にした。重要伝統的建造物保存地区である妻籠宿と馬籠宿は、中山道の木曽路を代表する観光名所として知られている。これまでに、ピンポイントで馬籠宿を観光したことはあったが、中山道を歩いたことはなかった。 「なぜ、外国人は妻籠・馬籠峠をテクテク歩くのか?」という質問の答えの多くは、「江戸時代の風情が感じられる伝統的な町並みを楽しむ」、「観光地化されていない町並みを楽しむ」ことが、彼らを惹きつけているらしい。昨今、「歩く旅が世界的なトレンドになっている」という。  そんな中、今回、ボランティアガイド仲間同士3人で木曽路を歩いてきた。南木曽駅から妻籠宿までの3.5kmの中山道トレイルを体験したので、魅力溢れるコースの紹介と感想を述べたいと思う。  まず、早朝7時に松本市内を出発して、塩尻市、名古屋方面へ車で走ること約2時間半で南木曽駅前に到着した。途中、上松町の浦島太郎伝説ゆかりの「寝覚めの床」と落差15m「小野の滝」を見学した。次いで、須原宿にも立ち寄った。天然さわらの丸太をくり抜いて作った「水舟」を見ることができた。水舟は、今も生活用水として使っており、丁度、一生懸命に掃除をしていた老婦人にも会うことができた。                     

「寝覚めの床」で特急しなのを写メ


須原宿で「水舟」を掃除していた老婦人

 車は、南木曽駅前駐車場に置いて、いざトレッキングスタートだ。  南木曽駅を9時30分頃に出発して線路を越えると、蒸気機関車D51を展示したSL公園がある。その後、外国人カップルに会ったが、彼らは長距離トレイルの最中らしく、先を急ぐように私達とは逆方面に歩いて行った。妻籠宿までの道のりは、山の中を通るものの、アップダウンがそれほどきついわけでもなく、時折り、風情のある民家と庭、草花をながめることができる。                                     

「SL公園」 

   主な見どころは、木曽義仲ゆかりの兜観音、石畳のある竹林の道、上久保の一里塚、蛇石、妻籠城跡への分岐点(妻籠城跡方面には熊が出没するため通行止め)、鯉岩/恋岩(高さ5.6m、幅6m)、そして妻籠宿の枡形跡(外敵の侵入を防ぐ役割をさせていた)などである。

石畳のある竹林の道

                             

兜観音前で3人そろってパチリ


鯉岩/恋岩(とにかく大きい)

妻籠宿を歩く外国人

                                   

妻籠宿の枡形跡













 

 

 ここで言う、「枡形」は松本城内外に存在していた役割と同じことと推察するが、宿場町における「枡形」に関して、観光庁の地域観光資源の多言語解説文データベースサイトから、以下の日本語版と英語版を入手したので記載する。(以下はそのサイト) https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R1-01471.html 【枡形跡】 敵を減速させた仕掛け 道路は枡形で直角に折れ曲がっています。当初は、城を防御するために考案されたものでしたが、このよう な急カーブは、敵の突撃時の勢いをなくさせたため、攻撃されている側に近くの建物の 2 階から階下の敵に 向けて発砲することを可能にする機会をもたらすことを意図した仕掛けでした。この仕掛けは枡形として知ら れ、(文字通り「箱型」です)、米の計量に使われた正方形の木製の箱、枡にちなんでいます。 枡形は、中山道の宿場町のすべてにありました。将軍、徳川家康は 1600 年に日本全土の支配を手 中に収めてからも、それまでに家康が倒してきた西日本の大名に疑念を持ち続けており、宿場町を自分の 軍が敵と戦うための防衛拠点と見なしていました。また、それと同時に枡形は、宿場町を無法者らの襲撃 からも守りました 【Site of the Masugata】 Slowing Down the Enemy The road at this point makes a 90-degree turn. Originally designed for the defense of Japanese castles, this sort of sharp turn was a deliberate device meant to deprive an enemy of forward momentum and give defenders an opportunity to fire down at them from the upper stories of nearby buildings. This feature was known as a masugata (literally “box shape”), after masu, a square wooden box used to measure rice. All the post towns on the Nakasendo had masugata. Even after gaining control over all of Japan in 1600, the shogun Tokugawa Ieyasu remained suspicious of the feudal lords of western Japan whom he had defeated, and saw the post towns as defensive locations where his forces could fight off enemies. At the same time, the masugata could also help defend the post towns against incursions by lawless elements.  妻籠宿に到着したのは、11時30分頃となり、所要時間2時間のトレッキングであった。妻籠宿に入ると直ぐに無料休憩所があるので立ち寄った。そこで5人のオーストラリア人に会ったので楽しい旅の話でひとときを過ごした。その後、五平餅店で何とも香り豊かでフワカリっとした食べごたえある五平餅を食べた。  妻籠宿の通りを歩いているのは、ほとんどが外国人であることを確認し、いかに人気があるかを思い知らされた。  妻籠宿を散策したあとは、尾又橋を渡ると国道沿いバス停にて南木曽駅行きの時間を確認したら、待望のランチタイムだ。近くにある中華そば「三殿社中」で美味いチャーシュー付け麺に舌鼓した。3人とも久しぶりのラーメンに満足できた。その後、ほぼ定刻通りにやってきたバス(300円)に乗車して、南木曽駅まで戻った。  午後2時頃に到着したのちに、南木曽駅近くにある国内最大級の木製吊り橋の「桃介橋」を渡ってみた。なかなか趣きのある橋で、その先の高台には高校があるらしく学生たちも通っていた。それから、木曽福島駅へ移動して木曽川沿いに設けてある足湯場に行くと、また数人の外国人が見えた。そこで、足湯に浸かりながら、お互いの旅について雑談した。松本に滞在予定のアメリカ人には、松本城の紹介を欠かさず話した。次いで、木曽川の崖の上に建つ家並み「崖家づくり」を眺めて驚愕した。  以上のようなショートトリップを紹介したが、まだ中山道トレイルを体験していない方々は、是非一度行ってみて欲しい。 これまで感じていた中山道トレイルは、1泊する必要があるのではと思っていたが、今回行ったショートコースなら、誰でも気軽にトライできそうである。なお、この日の私の万歩計を見たら約13,000歩だった。

(蛭田玲子)

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(中国語ガイド会員) 2017年にALSAに入会しました。私は大学で外国語を専攻したわけではなく、家庭の事情でたまたま26才の時に中国の広州に行き、それがきっかけで中国語を学び始め、松本城で少しガイドが出来るレベルになりました。 29才で結婚、東京から松本へ来たのは2005年。2011年には夫の実家がある木曽町に参りました。松本に来てすぐ、Mウイングやなんなん広場の日本語教室で、主に中国の方に日本

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